長い間、動物の胃はひとつと思っていましたが、牛の胃は4つあると知った時はとても驚いたのを覚えています。
他には、羊や鹿などが牛と似たような胃の構造を持っています。
そして、牛の4つの胃にはそれぞれ名前がついており、それぞれ役割も違います。
さらに牛の胃が4つある理由まで知っていれば、立派な焼肉通といっていいのではないでしょうか?
今回は、牛の胃の名前と役割、なぜ4つあるのか理由まで見ていきたいと思います。
牛の胃の名前と役割
牛には第1~4までの4つの胃がありますが、複数あるので「複胃」といわれています。
しかし、この4つの胃すべてが胃の働きをしているというわけではなく、人間の胃と同じような胃液で消化というような役割をしているのは第4の胃だけです。
では、第1~3までの3つの胃はどんな役割を果たしているのかというと、一度飲み込んだ草をまた口の中に戻して噛んでまた飲み込み、また口の口の中に戻して…を繰り返しています。
この作業を「反芻(はんすう)」といいます。
では、牛の第1~4までの胃の名前と役割を順番に見ていきましょう。
牛の第1の胃の名前と役割~「ミノ」
牛の第1の胃の名前を「ミノ」といい、名前の由来は切り開いた形が蓑傘に似ていることからきています。
4つある牛の胃の中で最も大きく胃袋全体の80%ほどを占めており、容量は約100~200リットルにもなります。
「ミノ」には食べた草の繊維を分解する役割があり、皮の部分は細かい毛・繊毛が密生していて非常に固い部位でもあります。
そのため下処理では皮をはいで包丁で切れ目を入れて食べやすくします。
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牛の第2の胃の名前と役割~「ハチノス」
牛の第2の胃の名前を「ハチノス」といい、名前の由来はその名の通り見た目が蜂の巣によく似ていることからきています。
「ハチノス」は、牛の胃袋全体の約5%を占めており、食べた草を押し戻す反芻の役割を果しています。
味はあっさりしていて食べやすく、4つある牛の胃の中では最も味がいいとされています。
「ハチノス」も下処理は必須で、固いですが下処理がていねいに行われた「ハチノス」はハラミのようにかなり柔らかくなります。
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牛の第3の胃の名前と役割~「センマイ」
牛の第3の胃の名前を「センマイ」といい、名前の由来は布を千枚重ねたように見えるところからきています。
内壁に深いひだや無数の突起があり、黒っぽくてボツボツとしています。
「センマイ」は、牛の胃袋全体の約7%を占めており、第4の胃に送る草の量を調整したり、第1の胃や第2の胃に戻す役割があります。
コリコリとした食感と臭みのなさが特徴ではありますが、下処理は必要です。
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牛の第4の胃の名前と役割~「ギアラ」
牛の第4の胃の名前を「ギアラ」といい、名前の由来は報酬を意味するギャランティが訛って呼ばれるようになったという説や、偽の腹=偽腹(ギバラ)という説があります。
「ギアラ」は、牛の胃袋全体の約7%を占めており、人間の胃と同じように胃液の分泌が見られ、送られてきた草の消化活動を行う役割を果たしています。
第1~3までの3つの胃と比較すると、表面が滑らかで薄く柔らかいのが特徴です。
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牛の胃が4つある理由
ここまで、牛の第1~3までの胃は「反芻(はんすう)」の役割を果たし、第4の胃が消化の役割を果たしていることがわかりました。
では、なぜこのように牛の胃が4つあるのでしょうか?
ご存知のように牛は草食動物ですが、食道が短いと生の草は消化しきれません。
そこで牛には胃が4つあって、「飲み込んだ草をまた口の中に戻して噛んでまた飲み込み、また口の口の中に戻して…」という「反芻(はんすう)」を繰り返して草を消化するのです。
これが、牛の胃が4つある理由です。
第1~3の胃は微生物が草を分解し、第4の胃が胃液で消化するというわけです。
無駄に4つもあるわけではなく、それぞれの胃が役割分担しているのです。
牛の胃の名前~まとめ
今回は、牛の胃の名前と役割、なぜ4つあるのか理由まで見てきました。
牛の第1の胃の名前は「ミノ」で食べた草の繊維を分解する役割、第2の胃の名前は「ハチノス」で食べた草を押し戻す反芻の役割、第3の胃の名前は「センマイ」で第4の胃に送る草の量を調整する役割、第4の胃の名前は「ギアラ」で胃液の分泌し草の消化活動を行う役割を果たしています。
牛の胃がなぜ4つあるのか、その理由は食道が短いと生の草は消化しきれないので、「反芻(はんすう)」を繰り返して草を消化するためです。
牛の胃の名前と役割、4つある理由まで知っていれば立派な焼肉通といっていいでしょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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