日本が世界に誇る和牛ですが、よく焼肉屋さんなどで「A5ランク」などの表示を見かけます。
これは牛肉の格付けを表していますが、牛肉の格付けは大変細かく設定されており、特に霜降り度合いの評価方法はプロでもわかりづらいといわれています。
しかし、格付けは牛肉を選ぶ際の大きな参考にもなります。
そもそも牛肉の格付けの意味とは、どういうものなのでしょうか?
今回は、和牛の価値を決めるともいえる牛肉の格付けや等級の意味について見ていきます。
牛肉の格付けの意味とは?
牛肉の格付け制度は、1960年代に公布された畜産物の価格安定等に関する法律の施行に伴い始まった食肉の流通を合理化するための制度です。
格付けは枝肉で判断され、日本食肉格付協会の格付け委員によって行なわれています。
枝肉とは、牛から皮、内臓を取り除いた状態の肉をいいます。
その後、牛肉の自由化が始まり、外国産の安い牛肉が流通するようになりました。
この時に日本の和牛と輸入牛には肉質に差があることを示し、価格競合から守るために格付けによって差別化してきました。
牛肉の価値は霜降り次第?
和牛といえば霜降りというぐらい、きれいにサシが入った霜降り肉が思い浮かびます。
昔から日本人の間でおいしいといわれてきましたが、最近では海外にも出回るようになったおかげで、世界のあちこちで評価が高まっています。
霜降りとは、筋肉細胞に沈着する脂肪のことで、サシと呼ばれています。
牛肉の評価は格付けで決まるので、サシが多くなればなるほどセリの落札価格も上昇します。
つまり、日本では牛肉の価値は霜降りで決まるといっても過言ではありません。
牛肉の格付けは「歩留等級」と「肉質等級」で評価
枝肉の格付けは、「歩留等級」と「肉質等級」による評価形式となっています。
これによって等級が決定されます。
等級=歩留等級(A~C)× 肉質等級(5~1)
これによって、肉の格付けは、最高級のA5から最も低いC1まで格付けされます。
牛肉の格付け~「歩留等級」
歩留等級は、枝肉から骨や筋を除去して、どれくらいの量の肉があるかを表します。
ロース芯の面積、ばらの厚さ、皮下脂肪の厚さ及び半丸枝肉重量の4項目の数値を計算し決定します。
いいほうから「A」「B」「C」の3等級に評価されます。
A:部分肉歩留が標準より良いもの
B:部分肉歩留が標準のもの
C:部分肉歩留が標準より劣るもの
牛肉の格付け~「肉質等級」
肉質等級は、脂肪交雑・肉の光沢・肉の締まり及びきめ・脂肪の光沢と質の4項目で評価されます。
(1)脂肪交雑:赤身肉のサシの量。B.M.Sとも呼ばれ、12~1の12段階評価で、5~1の等級に区別
(2)肉の色沢:色と光沢のよさ
(3)肉の締まり及びきめ:肉の締まりのよさ・きめ細かさ
(4)脂肪の色沢と質:脂肪の色と光沢・質
4項目とも5~1に区別されます。
牛肉の格付けや等級の意味~まとめ
今回は、和牛の価値を決めるともいえる牛肉の格付けや等級の意味について見てきました。
牛肉の格付けは、このようにして決まりますが、あくまでも牛肉の評価方法のひとつであり、焼肉屋さんなどの仕入れの目安になっています。
多くの生産者は、A5を目指して肥育しますが、 格付けが低くても和牛の品質が悪いとは言い切れない部分もあります。
等級が低くてもおいしかったという牛肉はたくさんありますから、格付けだけで牛肉を決めず、選ぶ際の基準の1つぐらいに考えておくのが妥当といえそうです。
牛肉を選ぶ際の参考になれば、うれしいです。
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