沖縄では“豚は鳴き声以外はすべて食べる”といわれるほど、豚肉は沖縄県民の食卓には欠かすことのできない食材になっています。
県土の四方を海で囲まれた島々のあつまりである沖縄県がなぜ、これほどまでに豚肉をよく食べるようになったのか、興味深いものがあります。
本当に鳴き声以外全部食べるのかどうかも気になります。
今回は、沖縄では豚肉をなぜこんなに食べるのか、鳴き声以外全部食べるのは本当なのかを見ていきます。
沖縄では豚肉をなぜこんなに食べるの?
沖縄県の豚肉消費量は本土と比べ、なんと1.4倍以上にもなります。
なぜこれほどまでに豚肉を食べるようになったのか、そこにはいくつかの理由が考えられます。
まず昔の日本では肉食をタブーとする文化がありましたが、沖縄は本土とは違ってあまりそうした肉食タブー文化に影響されませんでした。
豚肉だけでなく牛や山羊や馬まで、さまざまな食肉文化がありました。
しかし、そんな豚肉でも昔はだれもが食べられるものではなく、庶民はなかなか口にすることのできない高級品でした。
そのため、本土では食べないような部位でも、おいしく食べられるように工夫してきたのではないかと思います。
それにも増して大きいのが、次の中国との豚肉の歴史です。
沖縄と豚肉の歴史~中国との関わり
沖縄で独自の豚肉文化が開花した原因として、地理的な条件が関係しているのは明らかでしょう。
日本本土に匹敵するほど、あるいはそれ以上に中国など大陸の文化が影響しやすいといえます。
今でこそ、飛行機で移動できますが、昔は舟で何時間もかけての移動でした。
このような地理的あるいは交通の条件から、沖縄で豚肉料理が発展した理由として中国の文化が入ってきやすかったことがあげられます。
1392年に中国から豚が初めて沖縄に伝わり、1605年には同じく中国からイモが伝わりました。
特に、イモが伝わったのは大きいのではないかといわれています。
理由は、豚は家畜として特別な飼料を必要とせず、繫殖も容易でイモのようなものでも簡単に育てることができるからです。
これによって雑食の豚にイモの皮やツルが餌として使われるようになり、豚の飼育が比較的容易になりました。
豚肉を売ることによって、それまで自給自足が多かった農家が現金を手にすることができるようになったのです。
それともうひとつ、悪くなった部位と同じ部位を摂取することによって病気を治そうという中国の漢方の考え方があります。
足が悪ければ豚足を食べる、胃の具合が悪ければ胃を食べる、といった具合です。
この考え方からいくと、沖縄で“豚は鳴き声以外はすべて食べる”といわれるほど豚肉を隅々まで食べるのも納得できます。
沖縄では豚を鳴き声以外全部食べるのは本当?
では、沖縄でよくいわれるところの“豚は鳴き声以外はすべて食べる”というのは、はたして本当なのでしょうか?
沖縄では豚肉の部位の呼び方も独特なものがあるほど、隅々の部位までよく利用されているのは確かです。
しかし、鳴き声以外はすべて食べるかというと、さすがにそこまでは無理なようで、捨てる部位もいくつかあるようです。
まず、頭部ですが、チラガーといって顔まで食べる沖縄ですが、さすがに頭蓋骨は取り除いて捨てています。
また、沖縄では豚足として豚の足を食べますが、この時に爪は取り除いています。
最後に、もも肉やうで肉周辺にあるリンパですが、これも取り除かれます。
つまり、頭蓋骨・爪・リンパは、捨てられています。
しかし、血や背骨、脂身など本土では使われていない部位もしっかり利用されています。
結論としては、さすがに頭蓋骨・爪・リンパと捨てる部位はあるものの、“豚は鳴き声以外はすべて食べる”といわれるほど豚肉を余さずに食べるということでしょう。
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沖縄では豚肉をなぜこんなに食べるのか?~まとめ
今回は、沖縄では豚肉をなぜこんなに食べるのか、鳴き声以外全部食べるのは本当なのかを見てきました。
沖縄では豚肉をなぜこんなに食べるのか、その主な理由として、
・肉食タブー文化に影響されにくかった
・中国の文化が入ってきやすかった
・高級品だったため、あらゆる部位をおいしく食べられるように工夫してきたため
ことが、あげられます。
沖縄では、“豚は鳴き声以外はすべて食べる”といわれるほど豚肉を余さずに食べますが、頭蓋骨・爪・リンパは捨てているようです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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